2009年度の夏合宿は、心身の練磨と人権学習をテーマに開催しました。岡山県の東部にあります国立ハンセン病療養所「長島愛生園」に行ってきました。丸子支部長がいつも大変お世話になっている石田雅男さんと奥さんの懐子さんに、今回はご無理をいいまして「長島愛生園」での人権学習会と合宿が実現しました。奈良を出発してからバス中で丸子支部長からハンセン病について説明があり、石田さんのビデオ「今を生きる」を視聴しました。ハンセン病で療養所に連れてこられた方達は、親や兄弟と一緒に暮らすことができず、実名を名乗ることができず、結婚しても子供を生むことが許されず、一生療養所から出て暮らすことができず、死んでも故郷の墓に埋葬してもらえない、こんな生活を強いられてきました。同じ人間なのに、あやまった国の政策などによって、長い間多くの偏見と差別に苦しんできました。「いじめに負けない強い心と身体をつくる」空手道を学ぶ私達は何ができるのかを、ハンセン病の学習を通して考えるきっかけとしていただければ幸いです。
まず歴史館を見学する予定でしたが、先に2つの団体が歴史館に見学に来ている為、夏合宿恒例の連続スパーリングをすることになりました。昨年まで100Rやっていたスパーリングも、年々合宿の参加人数が減ってきたため50Rに変更しました。それでもみんな、汗だくなって息をきらせていました。石田さんと懐子さんも稽古を最後まで見てくださいまして、疲れても挨拶を忘れないみんなの姿勢を褒めてくださいました。
歴史館にて「ハンセン病」と「長島愛生園」について石田さんよりご説明を頂きました。
当時の生々しい体験を交えながら語られる石田さんのお話に、みんな聞き入っていました。
子供達も、「かわいそう」「みんなに話します」と、それぞれに考え、感じていました。
夜の交流会には石田雅男さんと懐子さん、広瀬哲夫さんにもご参加いただきました。突然の誕生日ケーキに石田さん達もびっくり。みんなで「Happy Birthday to You」を歌ってお祝いしました。雅男さんの誕生日は8月12日で、哲夫さんは3月、懐子さんは12月なのですが・・・。その後、一人一人が自己紹介をした後、ゲーム大会やキャンドルファイヤーで盛り上がりました。
2日目の朝は6時起床でラジオ体操から始まりました。その後、型の稽古をしてから朝食。一休みした後、ランニング・フィールドワークが始まりました。道着で気合いを入れながら走り、まず向いましたのは納骨堂。この中には亡くなってもなお故郷に帰れない約3,500柱もの遺骨が眠っています。私達はまず黙祷し、それから奉納演武をしました。石田さんと懐子さん、広瀬さんも見守ってくださいました。
次に昭和10年に入所者と職員が一体となって建設された「恵の鐘」に行き、一人づつ心を込めて鐘をつきました。この鐘は朝6時と夕方6時に自動的に鳴るのですが、その時間以外に鐘が鳴ったときは、入所者の方達も「誰かが来ているんだな」と思われるそうです。
その後、今年2月に奈良県の方達が植樹した木々に水をやり、目白寮、監房、収容所、少年舎跡等を走って砂浜へ。青い瀬戸内海をバックに基本と腹打ちで締めくくりました。
今回も最初から最後まで石田さんにお世話になりました。また、道仁指導員、壮年部からご参加いただきました松浦さんと土井さん、中学生の弘泰主将と優真副将、文昭くんのおかげさまで無事に終了できましたことを心よりお礼いたします。ありがとうございました。